1.「私の愛情は決して安くない」
米国人が飼っているペットで一番多いのがネコである。米獣医学協会(AVMA)の2012年のデータによると、7400万匹の猫が3610万世帯で飼われているという。(ちなみにイヌは、6990万匹が4330万世帯で飼われている。)散歩をさせたり、風呂に入れたりする必要がなく、仕事で長時間出ていても放っておきやすいなど、より自己充足的という評判がネコの人気の一因となっていると専門家は指摘する。米コロラド州デンバーにあるVCAアラメダ・イースト動物病院の獣医、ケビン・T・フィッツジェラルド博士は「ネコは理想のペットだと考えられている」と話す。
しかし、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)によると、一匹のネコを飼うには、平均で年間670ドルもかかる。この額は一匹の小型犬よりも90ドル多く、中型犬よりは少ないがその差はわずか25ドルである。
2.「具合が悪い時も元気な振りをする」
飼い主は痛みを抱えているイヌに気付く可能性が高い。鳴き声や行動の変化でわかることが多いのだ。ところが、ネコは基本的にもっと平然としている。「ネコは群生動物として進化してこなかったので、痛みや弱さを見せることは、縄張りを失うことや捕食されることを意味する」とペット保険会社ペットプランの獣医サービス部門の責任者、ジュールズ・ベンソン博士は説明する。こうしたこともあり、自分のネコの体調が悪いのかどうか、緊急のとき、そうでないときに動物病院に連れて行くべきかどうかの判断は難しい。
3. 「私の不品行の原因は飼い主の不品行にある」
あなたのネコがきれいなネコ用トイレを無視して長椅子で用を足したり、寝室のドアの前で夜通し鳴いたりするとき、そこにはどのような動機があるのだろうか。意外かもしれないが、それは通常、飼い主の行動が引き起こしていると『Cat Daddy』の著者で、テレビ番組『猫ヘルパー ~猫のしつけ教えます~』にも出演中のネコの行動主義心理学者、ジャクソン・ギャラクシー氏は話す。「自宅で飼っていても野生の本能は残っている。飼い主が自分やその趣味、美的欲望を中心とした生活をネコに送らせようとすると、その代償を支払うことになる。保証してもいい」
4.「あなたはネコ好きかもしれないが、私があなたのタイプとは限らない」
飼い主の膝の上で丸まるのが好きで、おもちゃから発せられるレーザー光線を追いかけ回し、他人には冷たい態度を取るというのが飼いネコの典型的なイメージかもしれないが、実際は異なる3匹の性質なのかもしれない。米バージニア州ウィリアムズバーグにあるウィリアム・アンド・メアリー大学で人類学を教え、『How Animals Grieve(動物の死の悲しみ方)』 の著者でもあるバーバラ・キング教授は「ネコにはかなりの個体差があり、その性格も一匹ずつ異なっている」と指摘する。もらい受けるときにミスマッチが生じ、ネコにとっても飼い主にとっても不幸な状況を招き得る――ネコがシェルターに戻されることすらある――ので「ネコを総称的に捉えてはいけない」と同教授は注意を促す。ASPCAでネコ科動物の行動カウンセラーをしているケイティ・ワッツ氏によると、「シェルターに戻されるネコには、社交的過ぎるタイプと神経質過ぎて隠れてばかりいるタイプの両方がいる」という。
5.「私を飼うとアパート探しが難しくなる」
大家、コンドミニアムやマンションの自治会などは特に大型犬の飼い主に厳しい目を向けているが、あまり目立たないネコは気づかれないことが多い。ところが、ニューヨークの法律事務所バーノン・アンド・ギンズバーグのパートナーで、専門には家主・借り主に関する法律も含まれるダリル・バーノン氏はまれに問題になることもあると指摘する。賃貸ならまだしも、分譲物件の多くでもネコを飼うことが全面的に禁止されており、一匹だけという条件付きで許可している物件もある。入居や購入を考えている飼い主がこうしたルールのせいで断られることもあるという。入居してからネコをもらい受けたり、内緒で飼おうとしたりする人は罰金や立ち退きという憂き目に遭う可能性もある。賃貸契約違反を理由に「借り主を訴える大家の数は驚くほど多い」とバーノン氏は話す。同氏はそうした案件で借り主の弁護を担当してきた。
6.「キャットフードは私の食事ピラミッドの一部に過ぎない」
マッギー(通称はミック)のずんぐりした体形は親からの遺伝である。9歳の雄ネコはキャットフードの他にママレードを塗ったトースト、ゆでていないスパゲッティ、女性用のコールドクリームなどを好んで食している。ミックの飼い主で米ニューメキシコ州アルバカーキ在住のスーザン・クロウさんは「まさかネコが食べるとは思わないものを本能的に食べてしまう」と話す。この食欲のせいで、ミックは2度のトラブルに見舞われている。2011年には落ちていたアスピリンを飲み込んで中毒を起こし、動物病院で救急診療を受けた。2012年にはリードを付けて外を散歩しているときに道端のユリを食べてしまった。(それぞれの事故でかかった100ドルと1450ドルの治療費にはペット保険が適用された。)
7.「簡単には死なないと言われているが、実際はそうでもない」
イヌの飼い主に比べて、ネコの飼い主はペットをあまり動物病院に連れて行かない傾向がある。今年1月に発表されたAVMAの調査結果によると、ネコの飼い主による動物病院の訪問は2006年から13.5%も減少している。2011年にベイヤ-が行った獣医医療の利用に関する研究では、ネコの飼い主の39%がペットを動物病院へ連れて行くのは病気のときだけと回答した。イヌの飼い主では同様の回答が24%と低かった。この研究を後援した全米猫獣医師協会のネコに優しい診療所プログラムの広報担当者、エリザベス・コレラン博士は「動物病院へ行くことは、ネコにとっても、その飼い主にとっても大きなストレスになり得る」と指摘する。「まず、移動用のカゴをガレージから引っぱり出し、ベッドの下にいるネコをうまくおびき出し、今度はなだめすかしながらカゴに入れなければならない。そして動物病院に到着するまで、車の中でもペットが鳴き続けるのを聞くことになる」
8.「人間同様、缶や袋から食べるのは体に悪い」
飼い主がネコに何を食べさせるかは、ネコの健康を大きく左右すると獣医たちは主張する。カリフォルニア州ラグナウッズにあるラグナヒルズ動物病院の獣医、バーナディン・クルーズ博士によると、自然本来のエサであるネズミや野鳥と比較すると、缶詰もドライフードも完璧ではないという。それでも同博士は「缶詰であれ、ドライであれ、ペットの体調が一番良くなるものを与えるのがいい」と話す。獣医に相談する価値もある――ドライフードにはより多くの炭水化物が含まれており、とりわけ尿路や腎臓の障害の要因となり得る。かといって缶詰などのウェットフードだけを与えると、歯の病気につながりかねないとフィッツジェラルド博士は言う。「少しはガリガリと噛む必要があるのだ」
それ以上に大きな問題が食べる量である。米ペット肥満防止協会によると、米国のネコの58.3%が太り過ぎ、あるいは肥満だという。ちなみにイヌのそれは52.5%だという。
9.「私は(野鳥、ネズミの)社会に対する脅威である」
ネコと楽しい時間を過ごしたことがある人なら、その狩りの技術が本物であるということを感じるだろう。フィッツジェラルド博士は「われわれがネコの遊びだと思っているものは、実際はさまざまな狩りの方法なのだ」と話す。ジョージア大学とナショナル・ジオグラフィックの2012年の共同研究では、屋内外で生活するネコの30%が屋外にいるときに獲物を捕まえて殺すことに成功した。その回数は平均で1週間に2.1回だった。野良ネコはさらに大きな影響を及ぼしてきた。ネブラスカ大学の2010年の研究は、野良ネコが世界中で33種の野鳥を絶滅に追い込んだと推測している。今年に入り、ハワイ大学もネコが一因で同州の絶滅に瀕している野鳥の数が減少していることを確認した。
10.「私はそれほど面白くない」
LOLCATSドット・コムには申し訳ないが、ニューヨーク州のセント・ボナベンチャー大学で2006年に行われた試験的研究に参加した人が記録した笑いの回数によると、イヌの飼い主の方がネコの飼い主よりも笑ったという。ネコとイヌの両方を飼っている人、ペットを飼っていない人もネコの飼い主より笑っていた。しかし、インターネット上では少し違う結果が出ている。ソーシャルコンテンツサイト、バズフィード・ドット・コムで動物関連の記事を担当している獣使い(正式な肩書)のジャック・シェパード氏は、最も急速に人気を博したユーチューブのビデオのいくつかはイヌを題材としたものだが、面白いネコとイヌの映像はほぼ同数だと話す。それでも、「全体としてはネコのコンテンツの方がイヌのコンテンツよりも急速に広まる可能性が高い」という。「イヌはなんでも必死でやろうとする。ネコは面白くしようとしていないところが面白いのだ」というのが同氏の持論である。
猫を飼っているみなさん、当てはまりますか!?
飼いたいな、と思っている方には参考になりそうですね。